「土佐日記」の著者と内容を説明せよ。
紀貫之。任地の土佐を船出して都に帰るまでの出来事を、作者を女性に仮託して仮名書きで記した、仮名文日記の最初で、後続の日記文学確立の端緒となった。
土佐日記(原文・現代語訳) – 学ぶ・教える.COM (manabu-oshieru.com)
「梁塵秘抄」の作者と内容を説明せよ。
後白河法皇。貴族間で流行した今様など雑芸の歌を集成した。
「中右記」の作者と内容を説明せよ。
藤原宗忠。 平安時代後期の日記で、朝廷の諸行事,政務を克明に筆録しているため,後世,貴族たちは競って彼の日記を学び,故実典礼の先例として引用した。
「平家物語」の内容を説明し、それがどのように人々に知れ渡ったのか説明せよ。
平安時代末,平清盛とその一門の興亡の歴史を描いた軍記物で,平曲とよばれる琵琶法師の語りによって文字が読めない人々にも広く親しまれた。
「方丈記」の作者と内容を説明せよ。
鴨長明。仏教的無常観を基調に、大風・飢饉などの不安な世情や、日野山に閑居した方丈の庵での閑寂な生活を、簡明な和漢混交文で描く。
★「愚管抄」の著者を記せ。また、その内容とその背景を説明せよ。
慈円。それまで合戦の起きたことのなかった京都を舞台にした保元の乱(「武者の世」の始まり)が起きたことで衰退していく貴族の運命と、武士が政争に使われたことによる武士の台頭を末法思想の影響を受けつつ、歴史は必然的な「道理」に基づき展開するという史観に立って、九条兼実の弟で天台座主も務めた慈円は叙述し、鎌倉幕府の成立を肯定した。そこには、九条家の公武協調策を擁護し、後鳥羽上皇の討幕計画を諫めようとする意図があった。
★「十六夜日記」の作者と内容を説明せよ。
阿仏尼。実子の所領相続をめぐる訴訟のため京都から鎌倉へ下った際の日記である。
「二中歴」の内容を説明せよ。
鎌倉時代の百科事典であり、天文気象・有職故実・人名・物名などを列挙している。
「立正安国論」の作者と内容を説明せよ。
日蓮。当時の天変地異は,浄土教などの邪法によるとして排斥し,諸経,諸宗を『法華経』のもとに統一して正法を広めるべきことを主張した。
「催邪輪」の作者と内容を説明せよ。
華厳宗の明恵が、法然の主著『選択本願念仏集』を披読して、そこに大乗仏教の発菩提心の意義が欠けていることを非難し、その邪見を反駁するために著した。
※貞慶も「興福寺奏上」で法然を非難した。
「歎異抄」の作者と内容を説明せよ。
親鸞の弟子の唯円の作とされ、親鸞死後に信徒たちの間に広まっていた異端を歎き、親鸞の伝えた真信に返そうとしてつくられた。
「喫茶養生記」の作者と内容を説明せよ。
栄西。本書で茶の製法や効能を説き,喫茶による諸病の治療法を述べ,健康管理の必要を主張し、源実朝に献上した。
「興禅護国論」の作者と内容を説明せよ。
栄西。中国から臨済宗を受けて帰朝し,日本に初めて禅を広めたが,南都北嶺の諸宗から非難攻撃を受けたため,禅が一つの宗旨として独立することが,鎮護国家のためにも仏教のためにも必要であることを力説した。この書によって日本における禅宗が歩みはじめた。
「明月記」の作者と内容を説明せよ。
藤原定家。作歌活動,古典研究など,文化的記事に富み,故実典礼の記事も詳しく,政情,世相,風俗もよく写されている。現実生活の記録としてのみでなく、平安時代末から鎌倉時代へかけての史料として,きわめて貴重。
「建武年中行事」の作者と内容、及びその目的を説明せよ。
後醍醐天皇。朝廷で行われる1年間の恒例,臨時の行事の作法や装束などが記されている。 『西宮記』『北山抄』『江家次第』など,従来の有職書が漢文であるのに対し,和文で書かれていて,国語資料としても貴重。鎌倉幕府を倒した天皇が,天皇親政の理想実現の一環として,建武の新政に際して旧儀の再興と朝権の復興を願ってつくった。
★「神皇正統記」の作者と内容を説明せよ。
北畠親房。全国的な統一政権としての幕府を開こうと目論む足利尊氏が立てた光明天皇側の北朝と、建武の新政からの引き続く天皇親政を行おうとする後醍醐天皇側の南朝間の抗争が続く中で書かれ、度会家行の説いた伊勢神道や朱子学の大義名分論の影響を受けつつ、南朝の正当性を主張した。
「梅松論」の内容を説明せよ。
北条氏の執権時代から南北朝の動乱を経て足利氏が天下を制するまでを、足利側の立場から述べる。
「太平記」の内容とその語られ方を説明せよ。
鎌倉末期から南北朝中期までの約 50 年間の争乱を和漢混交文で描き、「太平記読み」として講釈され講談の祖となった。
★「難太平記」の作者と内容を説明せよ。またその際、なぜ「難」であるのかも説明せよ。
今川了俊。今川氏の由緒と勲功を子孫に伝えようとして書かれ、応永の乱に際して、大内義弘と関東公方との連携を了俊がとりもった事情の弁明が詳しい。太平記の記述の誤りを指摘しているため難太平記と命名された。
「職原抄」の作者と内容を説明せよ。
北畠親房。日本の官職制度について、由来・官位・唐名などに触れ、任官のための家格や慣例も解説している。
「元元集」の作者と内容を説明せよ。
北畠親房。日本の神道の起源を調査し、和漢の古典から資料を引用、分類して自説を加えたもの。
「正平版論語」とは何か、説明せよ。
日本最古の「論語」の印刷本である。
「河海抄」の作者と内容を説明せよ。
四辻善成。「源氏物語」の初期の注釈書。
「公事根源」の作者と内容を説明せよ。
一条兼良。朝廷の年中行事の起源や変遷を説明
「樵談治要」の作者と内容を説明せよ。
一条兼良。9代将軍の足利義尚の問いに答えた政治上の意見書で、率直な人物を守護に選任すべきこと、足軽の停止などを内容とする。
「文明一統記」の作者と内容を説明せよ。
一条兼良。足利義尚の求めに応じて政治上の戒めを述べたもの。八幡大菩薩に祈念すべきこと,孝行,正直,慈悲,芸能をたしなむべきこと,政道を心にかけるべきことなどから成る。
「花鳥余情」の作者と内容を説明せよ。
一条兼良。「源氏物語」の注釈書で、四辻善成の「河海抄」の誤りを指摘・訂正している。
古今伝授とは何か、説明せよ。
「古今和歌集」の故実・解釈などの秘事を弟子に口承伝授すること。初めは東常縁から宗祇に伝えられた。
「応安新式」の作者と内容を説明せよ。
二条良基。連歌の規則を集大成したもの。
「閑吟集」の内容を説明せよ。
小歌・宴曲や民間の童謡などを収録し、庶民生活を知る好資料である。
「風姿花伝」の作者と内容を説明せよ。
世阿弥。父観阿弥の教えを体系化し子孫に伝えようとしたもので,世阿弥の芸術論の基本をなし、「花=観客の感動」の概念を中心に展開される。
中世の教科書を4つ答えよ。
「庭訓往来」。「童子教」。「実語教」。「伊呂波歌」。
「節用集」の刊行者および内容、歴史的意義を説明せよ。
饅頭屋宗二。いろは引きの国語辞書であり、このような体裁および性質の辞書としては,ほとんど皮切りであったとともに,当時としてはその簡便な点が実用的な書として,一般の歓迎をうけ,以後,種々の訂補や改編を経ながら,明治時代の初期まで行われた。このように長い生命をもっていた点で,本書は,日本における辞書および文字教育の文化史の上に,きわめて重要な位置を占めている。
「医書大全」の国内での翻訳者(刊行者)とその内容を説明せよ。
阿佐井野宗瑞。医学の全分野が平易に説明されており、日本の医書刊行の最初といえる。
「梅花無尽蔵」の作者と内容を説明せよ。
禅僧の万里集九(応仁の乱後、太田道灌の招きで江戸に赴く)の詩文集である。
「看聞日記」の内容を説明せよ。
室町前期の政治・社会・文化など多方面について知ることのできる好史料であり、義教の強圧政治や嘉吉の変の経緯についても詳細。
「善隣国宝記」の作者と内容を説明せよ。
瑞渓周鳳。周鳳は足利義政に信任されて多くの外交文書を作成したが,本書は外交資料および周鳳の外交批判を著わしている。
「塵芥集」の内容とその性格を説明せよ。
伊達稙宗が制定し、戦国家法のなかで最大の法典である。形式は御成敗式目にならっており,他の分国法に比べ直接的に家臣の統制を目的とした家中法的性格は少なく,中小領主間の紛争や,領主層とその家来,百姓との間に生じる諸問題など、分国統治の裁判規範としての性格が濃厚で、犯罪や年貢滞納に対する連座制の規定も特徴的である。
「今川仮名目録」の内容とその性格を説明せよ。
今川氏親が制定した《仮名目録》と,氏親の子義元が制定した《仮名目録追加》から成る。前者は、境界相論、私婚の禁止などを規定し、後者は、家臣の被官関係、裁判手続などを規定しているが、条文中、とくにこの制法が室町幕府権力を背景とせず、今川氏自身の力量による制定・発効を強調し明示している点が特徴的。武田氏の「甲州法度之次第」にも影響を与えた。
「甲州法度之次第」の内容と性格を説明せよ。
武田晴信(武田信玄)が制定した法典。喧嘩両成敗法,宗論の禁止など,戦国家法の特色とされる条文が多くみられ、「今川仮名目録」の強い影響下に成立したもの。
「六角氏式目」の内容と性格を説明せよ。
六角義治と父義賢の制定した分国法。重臣との合議により制定され、主従がこの法の遵守を誓うという特異な形式をとる。売買法・訴訟手続法・年貢収納法など民事規定が多く、畿内周辺の実情を反映している。
「蔭涼軒日録」の内容を説明せよ。
鹿苑院内の蔭涼軒主の日記。 当時の禅宗の制度,文物,室町幕府の政情や武家社会の動静などを知るうえに不可欠の史料である。
「実悟記拾遺」の内容を説明せよ。
本願寺の記録の補遺で、加賀の一向一揆による富樫泰高の擁立と、「百姓ノ持タル国」の記事が見られる。
「老松堂日本行録」の作者と内容を説明せよ。
宋希璟。室町幕府からの使節派遣の回礼使として来日、当時の日本の社会情勢と各地の見聞を記録したもの。瀬戸内海の海賊騒ぎや摂津での三毛作の記事が有名。
「朝鮮使節の見た農業技術」(『老松堂日本行録』)-史料日本史(0504) (chushingura.biz)
「耶蘇会士日本通信」の内容を説明せよ。
来日した多くの宣教師たちがインド,ヨーロッパのイエズス会員に送った書簡集であり、日本におけるキリスト教の初期布教の実態と,戦国期の日本社会の諸相を伝えたもの。
★「聖教要録」の作者と内容を説明せよ。
山鹿素行。武士日用の道徳を主張して、儒教古典の朱子学的解釈を批判した。
★「中朝事実」の作者と内容、及びそれが書かれた対外的背景を説明せよ。
山鹿素行。幕府が朝鮮や琉球に対する独自の華夷秩序を形成していたことや、中国での王朝交替に対する優越感を背景として、日本が特に中国よりも優れた国であることを、日本の皇統の継続性や対外からの侵略が無かったことなどの歴史に即して述べたものである。
★「経済録」および「経済録拾遺」の作者と内容を説明せよ。
太宰春台。政治論および経世論を発展させ、武士も商業を行い、専売制度によって利益を上げるべきだと主張した。
★「大学或問」の作者と内容を説明せよ。またこの著作による作者への影響も説明せよ。
熊沢蕃山。重農主義的立場から武士土着論を中心とする俸禄世襲の廃止、参勤交代の緩和を主張し、幕政を批判した。そのため幕府に咎められ、下総古河に幽閉された。
「広益国産考」の作者と内容を説明せよ。
大蔵永常。各地の工芸作物の栽培を奨励し,特産品による農業の発展を促した。
「農具便利論」の作者と内容を説明せよ。
大蔵永常。全国各地で使用される農具のうち,普及の価値があるものを,絵入りで説明したもの。
「綿圃要務」の作者と内容を説明せよ。
大蔵永常。綿の栽培全般について,自然条件や収穫高を左右する品種などを重視し、当時の日本の産地の中心地であった近畿などの特色にふれ,江戸時代綿作の農書のうち最高水準の内容である。
「草木六部耕種法」の作者と内容を説明せよ。
佐藤信淵。有用植物の利用対象を,根・幹・皮・葉・花・実の六部にわけ,それぞれに属する植物の栽培法を解説している。本書により信淵は,宮崎安貞,大蔵永常とならび「江戸時代の三大農学者」と称される。
「三王外記」の作者と内容を説明せよ。
太宰春台。綱吉から家継までの治世の歴史書。
★「本朝通鑑」の作者と内容を説明せよ。
林羅山。林鵞峰。神武から後陽成天皇まで編年体による史書であり、実証主義的な歴史叙述をめざした
「後鑑」の内容を説明せよ。
江戸幕府による、室町幕府の通史であり史料を交えながら説明したもので、「本朝通鑑」「徳川実記」などとともに江戸幕府の代表的な修史事業である。
「徳川実記」の内容を説明せよ。
江戸幕府が編纂した徳川家の歴史書。林述斎の監修のもと、家康を除いては典拠に基づく叙述がある。
「交隣提醒」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
雨森芳洲。朝鮮の風俗や習慣を尊重すべきことを説いた。
★「都鄙問答」の内容と作者
石田梅岩。梅岩の思想が集約されたもので、四民の人間的平等を強調し、商業活動の正当性および、そのための商人による商人道の自覚の必要性を訴えた。
「和俗童子訓」の著者と内容
貝原益軒。早期教育の重要性を説いた。
「女大学」の内容 を説明せよ。
江戸中期以降に普及した女子教訓書であり、著者は不詳。貝原益軒の「和俗童子訓」の関係部分を通俗化したもので、家庭内の女子の隷従の道徳を説く。
「養生訓」の作者と内容を説明せよ。
貝原益軒。中国の養生書と自分の体験に基づき,精神・肉体両面から日常的健康法を記述したもので、以後の養生書の模範を示した。
「慎思録」の作者と内容を説明せよ。
貝原益軒。知行両立を説き,存養省察を主張するなど,経義・哲学・道徳・教育に関する見識を朱子学の立場から述べている。
「大和本草」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
貝原益軒。明の「本草綱目」を参考にしながら,独自の分類法に従って,動・植・鉱物を自己の具体的知識に基づいて効用などについて体系的に記述したもので、日本の本草学の基礎を築いた。
「庶物類纂」の作者と内容と意義を簡潔に説明せよ。
稲生若水。博物学的本草学の大著で、彼の病死後の弟子の増補を含め 1000 巻に及ぶ。内容的には物産学的傾向が強く、これに影響されて以後の日本の本草学はしだいに博物学的色彩が濃くなっていった。
「塵劫記」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
吉田光由。割算・掛算を基礎とし、級数・根・体積・幾何図形までを平易な日常的例題で説いた。和算・算盤の普及に貢献し、江戸時代を通してもっとも読まれた本の一つとなった。
「発微算法」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
関孝和。筆算による代数計算の基礎を確立。沢口一之の著作「古今算法記」の中にある、天元術では解けない問題の解答法を明らかにした。
「梨本集」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
戸田茂睡。歌論書であり、中世から近世にかけて行われた二条派歌学を批判し,「古今伝授の思想」や「制禁の詞」がいかに無意味かを論難・説明した。
「創学校啓」の著者と内容を説明せよ。
荷田春満。国学の学校建設を将軍吉宗に提案したもの。
「国意考」の作者とその功績、また国意とは何か簡潔に説明せよ。
賀茂真淵。国学の基礎を築く。儒仏の影響を受けない純粋な日本固有の道のこと。
「祝詞考」の作者と内容
賀茂真淵。「延喜式」の祝詞の研究書であり、祝詞の学問的研究の最初で、古学の見地に立って古代の文章の美しさをたたえる。
★「古事記伝」の作者と内容を説明せよ。
本居宣長。古事記の注釈書で、最初の文献学的な古事記研究書であり、宣長の国学思想の基礎をなす。
「玉くしげ」の作者を説明せよ。またそこに記されている理論を、その主な提唱者を踏まえて述べよ
本居宣長。大政委任論であり、当時台頭していた尊王論を牽制し、幕府支配の正当性を示すために松平定信らが唱えた。将軍は天皇の委任により政治を行い、将軍はそれを大名に分担させているという考え方で、一度委任した以上は天皇といえども将軍の大政には口出しできないとした。
本居宣長の著書をまとめよ。
●「源氏物語玉の小櫛」(源氏物語を独自のもののあはれ論で評価)
●「古事記伝」
●「宇比山踏」(漢学に対抗して国学の立場からの学問論と研究法を平明に展開)
●「玉くしげ」
●「秘本玉くしげ」(古道による政治論。時弊を具体的に指摘し、為政者の心構えを説く。内容が現実政治にかかわるため、宣長は生前、本書の刊行を許さなかった。)
●「玉勝間」(随想集であり、復古思想・文学・有職故実などに触れる)
●「直毘霊」(儒学批判と皇国の優秀な理由とを述べ、言葉はなくても日本には古くから道というものが備わっているとする〈古道論〉の精髄が展開される。)
●「石上私淑言」(未完の歌論書であり、和歌の定義,本質,形式,起源,歴史,詩と歌の比較など多岐にわたって論じられているが,和歌の本質を〈もののあはれ〉に見,文芸の自律性を強調した)
「出定後語」の作者を答え、その内容を説明
富永仲基。仏教の経典は釈迦が説いたそのものではなく、のちの思想発達の中で付加されて成したという“加上説”を説き、大乗仏教は後世につくられたものであると断じた。
「華夷通商考」の作者と内容を説明せよ。
西川如見。長崎で見聞した海外事情・通商関係を記述したもので、地域は朝鮮・中国・台湾・南洋・インド・西洋などに及ぶ。
「町人嚢」の作者と内容を説明せよ。
西川如見。町人としての心得を学問,道徳,職業,処世などに分け個条書にしたもの。封建的身分制を肯定したうえで武士と異なる町人独自の生き方を主張したところに特徴がある。
★「采覧異言」の作者と内容を説明せよ。
新井白石。世界地理書で、シドッチの尋問による知識と中国地理書を参照して、世界の地理・風俗を記し、吉宗に献上された。
★「西洋紀聞」の作者と内容を説明せよ。
新井白石。西洋研究書で、シドッチの尋問で得た西洋の地理・風俗などを記録した。秘本で、幕府内の関係者しか閲覧できなかった。
「折たく柴の記」の作者と内容
新井白石。上巻で祖父,両親のことや自己のおいたちから甲府侯仕官までの事跡を,中巻で将軍徳川家宣の,下巻で家継の治績と政治的事項について記す。内容,文章ともにすぐれ,日本の自伝文学の傑作。
「古史通」の作者と内容
新井白石。神代〜神武天皇までを研究したもの。〈神とは人也〉の見地に立つ白石は神話・伝説に対して宗教的・神秘的解釈を避け,漢字の字義にとらわれることなく,ことばの意味の理解に努めており,神話を史実として実証しようとし、卓越した古代研究書となっている。
「藩翰譜」の内容と作者
新井白石。江戸時代中期に成立した歴史書で、大名家についてその始封,襲封,廃除などを記したもの。
★「読史余論」の作者と内容を、そこに記されている歴史に対する論理を明確にしながら説明せよ。
新井白石。江戸幕府の権威上昇をはかった正徳の政治を行っている間に書かれたもので、歴史を段階に区分してとらえ、独自の「九変五変論」を展開しながら公家政権から武家政権への変化の過程をたどり、江戸幕府の正当性を主張した。
「蘭学階梯」の著者と内容および彼の行った行事を説明せよ。
大槻玄沢。上巻に日蘭通商と蘭学勃興の歴史を述べ、下巻にオランダ文法の初歩を説いた。玄沢は江戸に芝蘭堂を開いて多くの門人を育てた。芝蘭堂では毎年太陽暦の1月l日にあたる日に新年を祝うオランダ正月(新元会)が開かれた。
「蘭学事始」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
杉田玄白。「解体新書」の刊行を中心に、蘭学導入の苦心談や興隆の機運を記したもの。
「後見草」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
杉田玄白。鋭利な風刺のうちに滑稽と皮肉をもって世相を論評した。
「西説内科撰要」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
宇田川玄随。日本で刊行された最初の西洋内科翻訳書で、それまで外科系志向であった日本の西洋医学は,内科系を加えて発展するようになった。
「ハルマ和解」=「江戸ハルマ」の代表的訳者と内容を簡潔に説明せよ。
稲村三伯。日本初の蘭和辞典で、蘭学の発展を促した。
「群書類従」の代表的編者と内容を簡潔に説明せよ 。
塙保己一。日本の古代から江戸時代初期にいたるまでの古書を集大成した叢書。
「柳子新論」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
山県大弐。朱子学的大義名分論の立場から幕府を批判し、勤王思想を主張。
「男子女子前訓」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
手島堵庵。子供に心学道話を説く手引書。
「日本外史」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
頼山陽。源平両氏から徳川氏まで,政権が武門に帰した由来を,史論をはさみつつ明らかにしたもので、勤王思想を主張して尊王論を鼓舞した。
★「自然真営道」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
安藤昌益。封建社会を厳しく批判し、階級制度に反対した。武士が年貢を収奪する社会を「法世」と批判し、万人が直接生産者である万人直耕の「自然世」を理想とした。
「統道真伝」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
安藤昌益。差別のない平等な世を理想とし、儒教・仏教を批判した。
「新論」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
会沢安。尊王攘夷論の理論的支柱の一つとなった。
「舎密開宗」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
宇田川榕庵。日本最初の化学書である。
★「民間省要」の作者と内容を説明せよ。
田中丘隅。川崎宿の名主であった著者が、農政の沿革,民間の実情,および役人の横暴を批判し武士階級だけではなく民間有為の者の登用するなど民政に対する批判的意見を記した農政書で、後に徳川吉宗に献上され、享保の改革に採用された。
★「政談」の著者と内容を説明せよ。
荻生徂徠。幕政の危機ついて幕府要人の諮問に答える形式で、参勤交代の弊害の打破や、武士土着論を説いた。
「牧民金鑑」の内容を説明せよ。
江戸時代農政に関する法令集。地方支配に精通していた編者が,後進の代官執務の便宜のために,長年にわたって収集した法令、新田、検地など93項目に分類整理したもので,農政の実情を知るための好資料である。
「武家事紀」の作者と内容を説明せよ。
山鹿素行。武家政治の由来・武家の儀礼や戦術などを集大成したもの。武家政治の出現の必然性を説き,儒学者としての史論を展開している。
「三王外記」の著者と内容を説明せよ。
太宰春台。綱吉から家継までの治世の歴史書。
★「赤蝦夷風説考」の作者と内容を説明せよ。
工藤平助。蝦夷地の現状を述べ、その開発と対露貿易を論じ、田沼意次に献上した。
「独考」の作者と内容を説明せよ。
工藤平助の娘である只野真葛が、海防問題などにも触れて書いた経世論。
「世事見聞録」の作者と内容を説明せよ。
武陽隠士。徳川の治世が次第に本を失い奢侈を増長する方向に流れたことを,当時の武士,農民,寺社などあらゆる職業,風俗,生産などの見聞を通じ,儒教的見地に立って論評している。事実の指摘はあくまで正確で,当時の社会情勢を知る好史料。
松平定信の著書3つを簡潔に説明せよ。
自叙伝である「宇下人言」。随筆である「花月草紙」。古い書画や器物を模写させた「集古十種」。
「考義録」の内容と意義を簡潔に説明せよ。
寛政の三博士らを中心に編纂され、全国の善行者の表彰事例を編集した書で、寛政の改革の民衆教化策として生き方の模範を示した。
★「海国兵談」の作者と内容を説明せよ。
林子平。ロシアの南下を警告し、いち早く江戸湾防備の必要性を提唱するなど海防の急務を説いた。
「三国通覧図説」の著者と内容を説明せよ。
林子平。日本を中心に、朝鮮・琉球・蝦夷地3国を図示して解説した。しかし、発禁となった。
「草茅危言」の作者と内容を説明せよ。
中井竹山。松平定信の諮問を受け、政治・経済・社会などの時事問題につき答申した意見書。参勤交代や世襲的俸禄制度の批判、貨幣鋳造の提言など、合理主義的見解が述べられ、寛政の改革に影響を与えた。
★「北越雪譜」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
鈴木牧之。越後の雪の観察記録を中心に、雪国の風俗・習慣などを記述した。
★「菅江真澄遊覧記」の内容を説明せよ。
旅先での地理・風俗を挿絵入りで記録した日記で、貴重な民俗資料である。
「本学挙要」の著者と内容を説明せよ。
大国隆正。日本の神道が儒学・仏教よりも優れており、日本が全世界の中心となり、天皇が世界を支配する王となるべきことを説いて、水戸の斉昭に献上された。
「新真公法論」の著者と内容を説明せよ。
大国隆正。幕末に流布したグロチウスの「万国公法」を批判し、日本が世界の中心となるべき国であることを説いた。
「暦象新書」の作者と内容
志筑忠雄。地動説を日本に紹介した初期の文献の一つで、彼の星雲に関する独創的見解を述べた部分もあり、科学史上画期的な書と評価されている。
「偽紫田舎源氏」の作者と内容を説明せよ。
柳亭種彦。「源氏物語」を借り、室町時代に時を移して幕府大奥の実情を写した。
「公余探勝図」の作者と内容
谷文晁。松平定信の伊豆・相模の巡視に随行して描いたもの。
「庭訓往来」の内容を説明せよ。
貴族的教養を排した庶民用の初等教科書で、手紙文を配列しているが,文例集ではなく,日常生活に必要な多くの用語を示し,それが意味する社会事象を教えるのを目的とした。
★海保青陵、本多利明、佐藤信淵の主張と著作を説明せよ。
●海保青陵●…「稽古談」を著し、藩財政の立て直しには消極的な倹約政策ではなく発展してきた商品経済に対応した藩営専売などを積極的に行うべきであると主張した。
●本多利明●…「西域物語」「経世秘策」などで属島・蝦夷地の開発と西洋諸国との交易による富国策を論じた。
「年貢増徴」(『西域物語』)-史料日本史(0686) (chushingura.biz)
「苛税」(『西域物語』)-史料日本史(0744) (chushingura.biz)
●佐藤信淵●…「農政本論」「経済要録」「宇内混同秘策」などを書き、農政改革、産業の振興、流通の国家的統制、海外への進出などを説いた。
「慎機論」の作者と内容を説明せよ。
渡辺崋山。モリソン号事件の無謀さを外国事業の紹介から説く。未定稿で人には読まれなかった。
「戊戌夢物語」の作者と内容を説明せよ。
高野長英。モリソン号打払いの無謀さを夢の中で知識人の討議を聞く形で批判した。
★「夢の代」の作者を答え、その内容を説明せよ。
山片蟠桃。合理的態度で儒仏国学を批判し、天文・地理で地動説を主張し、また物価・貨幣制度を論じて自由経済政策を説いた。
「戊戌封事」の作者と内容
徳川斉昭。天保の飢饉や大塩の乱、モリソン号事件など内憂外患の状況が深まるのを見て、三家の立場から海防策の即時実行などの幕政改革を要求し、家慶に提出された。
「通航一覧」の内容を説明せよ。
江戸時代の外交関係史料集。琉球,朝鮮,中国をはじめ,東南アジア,欧米諸国の国号の起源,統治者の世系,日本との交通などを,いくつかの項目に分けて書いてある。
「航海遠略策」の著者と内容を説明せよ。その際、彼の動向についても簡潔に触れよ。
長井雅楽。外国人排斥である小攘夷や、幕府が諸外国と締結した不平等条約を破棄させる破約攘夷ではなく、むしろ積極的に広く世界に通商航海して国力を養成し、その上で諸外国と対抗していこうとする「大攘夷」思想に通じる考えを示した。公武合体論者として開国・公武合体を建言して長州藩是として採用されたが、尊攘派の台頭により藩論が転換して失脚した。
「園能池水」の作者と内容を説明せよ。
伴林光平。国学の立場から、日本人の学問に対する姿勢の理想を説く。学問をすることは儒学的な発想であるが、日本人本来の精神を失わずに学問をすることが大切だとする「和魂漢才」の主張などが展開されている。
「船中八策」の起草者と内容を説明せよ。
坂本竜馬が起草させた新国家構想で、朝廷への政権奉還、二院制議会の設置、外国との不平等条約の改定、憲法の制定、海軍の拡張など8か条からなり、大政奉還、明治政府の五箇条の御誓文となって引き継がれた。
「百学連環」の作者と内容を説明せよ。
西周。私塾育英舎で行った講義の内容をまとめたもので、西洋の知識を基礎として、独自の学問組織論を展開している。
「泰西国法論」の出版者と内容を説明せよ。
津田真道。オランダの憲法学者フィセリングの講義の邦訳であり、日本で最初の近代法学書である。