「徳川禁令考」の内容を説明せよ。
明治初期に大木喬任の命で司法省が編纂した江戸幕府の法令集。 前聚で幕府の公家,武家,寺社,農工商,外国関係の重要法規を分類収録し,後聚 には幕府の編んだ『科条類典』をもとに刑律,条例など司法,警察関係法令や判例を集めている。後聚は特に『公事方御定書』成立に関する史料として重要である。
「献芹詹語」の作者と内容を説明せよ。
矢野玄道。王政復古の直後に、維新の実をあげるには祭政一致と神祇の復興が急務として建言した。政治体制の細部にわたっており、上皇の否定など皇統の一本化の重要性も主張した。
「団団珍聞」の創刊主宰者と内容を説明せよ。
野村文夫。政治漫画と戯文で明治藩閥政府を風刺し,自由民権思想の鼓吹に努めたが,しばしば発売禁止や発行停止の弾圧を受けた。
「富岡日記」の作者と内容を説明せよ。
和田英。当時の富岡製糸場の実態や人間関係、母の封建的な倫理道徳観について叙述した。
「楽翁公伝」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
渋沢栄一。松平定信の伝記である。
「最暗黒の東京」の作者と内容を説明せよ。
松原岩五郎。明治中期の東京の下層民の様子を貧民窟などの現状からルポルタージュした。
「琵琶伝」の作者と内容を説明せよ。
泉鏡花。日清戦争直後の軍国的風潮のもたらす悲劇を描いた。
「不如帰」の作者と内容を説明せよ。
徳冨蘆花。封建的家族制度の中の悲劇を扱った家庭小説である。
「自由党を祭る文」の発表者名と内容を説明せよ。
幸徳秋水。自由党の後身憲政党が藩閥と妥協して立憲政友会を結党したことに対しての批判である。
「廿世紀之怪物帝国主義」の作者と内容を説明せよ。
幸徳秋水。日清戦争後のナショナリズムの高まりに抗して、帝国主義の本質を「愛国心を経(たていと)とし軍国主義を緯(よこいと)とす」と鋭く指摘し、近代帝国主義を論じた先駆的著作。
「社会主義神髄」の作者と内容。
幸徳秋水。社会主義の啓蒙期において社会主義理論の最高水準を示したもので、矛盾をはらむ資本主義社会の解体にいたる過程を展望した。
「あゝ野麦峠」(1968 年)の作者と内容を説明せよ。
山本茂実。工女や「女工哀史」を生み出した農村と工場の実態、さらに原料繭を買いたたき、工女を搾取した資本家の姿を描き出した。
「日本之下層社会」(1899 年)の作者と内容を説明せよ。
横山源之助。日本資本主義の急激な発達期を支えた労働者層の実態を、自らその中にはいって資料を集め、賃金形態、労働時間、女子・幼年労働者の問題などの面から実証的に指摘した。
農商務省による調査報告(1903 年)の名称と内容を説明せよ。
「職工事情」。産業革命が進展する状況下の労働者の実態を調査した報告書。
「興業意見」(1884 年)の編纂者名と内容を説明せよ。
前田正名。農工商業の実情調査報告と停滞の原因,将来の振興策を述べた意見書。外国の制度文物の輸入よりも在来産業の保護・整備が富国策と主張し,松方財政に批判的であった。
「女工哀史」(1925 年)の作者と内容を説明せよ。
細井和喜蔵。軽工業の発達によって独占資本主義を形成確立した日本資本主義の裏側における綿糸紡績工場の女子労働者のきわめて悲惨な実態を描いた。
福沢諭吉の著書を5つ挙げよ。
「西洋事情」。「学問のすゝめ」。「文明論之概略」。「福翁自伝」。「世界国尽」。
「文明論之概略」の内容を説明せよ。
西洋文明の精神を学ぶべき必要性などを論じ、最後に日本の独立についての考えを展開した。
「西国立志編」の作者と内容を説明せよ。
中村正直。西洋の歴史上の人物数百人の成功談を述べ、個人主義的道徳を説き、明治初期の青年に大きな影響を与えた。
「三酔人経綸問答」の作者と内容と登場人物3人を説明せよ。
中江兆民。民権運動の挫折と明治憲法の制定目前において、3 人の男が酒を酌み交わして日本の進路を議論した。登場人物は、民主主義者の「洋学紳士」、侵略主義者の「豪傑君」、現実主義者の「南海先生」(対外的には平和外交と防衛本位の国民軍構想を、国内的には天皇によって恩恵的に与えられた「恩賜的民権」を人々が自ら勝ち取る「回復的民権」へ育成し、「立憲制」から「民主制」への漸進的改革を主張した)。
「蹇蹇録」の作者と内容を説明せよ。
陸奥宗光。戦争の発端から講和会議、三国干渉に至るまでの外交の推移を記述したもの。
「風俗画法」の発行元と内容を簡潔に説明せよ。
東陽堂。西洋のイラスト雑誌の影響を受け、最初に「画法」を名乗った。江戸時代風俗の考証,各地に伝わる地方風俗の紹介,刊行時における流行風俗の記録を編集方針とした。
日本最初の本格的な女性雑誌名とその編者名を記せ。
「女学雑誌」。巌本善治。
【明治期の小説・詩などの作者】
「安愚楽鍋」➡仮名垣魯文
「経国美談」➡矢野竜溪
「佳人之奇遇」➡東海散士
「雪中梅」➡末広鉄腸
「あひびき」➡二葉亭四迷の翻訳
「我楽多文庫」➡硯友社の文芸同人誌
「夏木立」「胡蝶」➡山田美妙
「五重塔」➡幸田露伴
「高野聖」➡泉鏡花
「若菜集」「破戒」「夜明け前」➡島崎藤村
「天地有情」➡土井晩翠
「海潮音」➡上田敏
「たけくらべ」「にごりえ」➡樋口一葉
「歌よみに与ふる書」「病牀六尺」➡正岡子規
「ホトトギス」を主宰➡高浜虚子
「アララギ」を創刊、「野菊の墓」➡伊藤左千夫
「土」➡長塚節
「不如帰」「思出の記」「自然と人性」➡徳富蘆花
「武蔵野」「牛肉と馬鈴薯」➡国木田独歩
「蒲団」「田舎教師」➡田山花袋
「黴」「あらくれ」➡徳田秋声「何処へ」➡正宗白鳥
「一握の砂」「悲しき玩具」「時代閉塞の現状」➡石川啄木
【明治期の絵画・彫塑などの作者】
「悲母観音」➡狩野芳崖
「竜虎図」「白雲紅樹」➡橋本雅邦
「落葉」「黒き猫」➡菱田春草
「鮭」「山形市街図」➡高橋由一
「収穫」➡浅井忠
「読書」「湖畔」「舞妓」➡黒田清輝
「海の幸」➡青木繁
「南風」➡和田三造
「天平の面影」➡藤島武二
「渡頭の夕暮」「少女新聞を読む」➡和田英作
「夜汽車」➡赤松麟作
「車夫の家族」➡満谷国四郎
「老猿」➡高村光雲
「坑夫」「女」➡荻原守衛
「ゆあみ」➡新海竹太郎
田口卯吉の書を 2 つ挙げ、その内容を説明せよ。
「日本開化小史」は、古代~廃藩置県までを発展的に叙述した歴史書である。「東京経済雑誌」は、自由貿易主義を掲げ、政府の保護貿易的な経済・外交政策を批判し、政策提言を行った。
「時代閉塞の現状」の作者と内容を説明せよ。
石川啄木。自然主義を批判し、時代の行き詰まりを告発し、国家権力を批判した。
「邪宗門」の作者と内容を説明せよ。
北原白秋。異国情緒と官能美の象徴詩風を創造する。
戦前の2つの代表的総合雑誌と総合雑誌の性格と役割を説明せよ。
「改造」(山本実彦の改造社が創刊)。「中央公論」。政治・経済・文化など広い分野について小説や随筆から論文・評論までを合わせて掲載する雑誌のことで、政治・社会思想を広め、大正デモクラシーの風潮を浸透させた。
※改造社→「死線を越えて」「現代日本文学全集」
時代小説と歴史小説の違いを説明せよ。
歴史小説は忠実に基づくが、時代小説は人物設定などが自由。
※時代小説➡中里介山「大菩薩峠」、白井喬二、直木三十五、古川英治「宮本武蔵」、江戸川乱歩「怪人二十面相」(探偵小説)、大佛次郎「鞍馬天狗」、吉屋信子
戦前の主な婦人雑誌を説明せよ。
19 世紀末から20世紀初頭には編集のほとんどを巌本善治が担当した「女学雑誌」が創刊され、1900 年代には女子教育の普及に伴い「家庭之友(のち婦人之友)」のほか、娯楽性を交えた読み物としての「婦人世界」などが代表的。知識人女性を対象に婦人問題を多く取り上げ、オピニオンリーダーの役割を果たした「婦人公論」(女権拡張を目ざす女性教養誌として出発、しばしば母性保護論争など、女性の生き方をめぐる論争の舞台に)や、家庭生活の実用記事を中心とした編集で主婦層に迎えらえた「主婦之友」も創刊された。
美濃部達吉の著書を3つ挙げよ。
「憲法講話」(1912年)。「憲法撮要」(1923 年)。「逐条憲法精義」。
「死線を越えて」(1920年)の作者と内容を簡潔に説明せよ。
賀川豊彦。キリスト教社会主義思想を背景にした自伝的社会小説である。
日本の代表的な総合雑誌である「中央公論」(1899年)を、大正期において確立・発展させた編集者名を記せ。 また、「中央公論」の前身の雑誌名を記せ。
滝田樗陰。「反省会雑誌」。
「代議政治の論理」の作者と記せ。
石橋湛山。
「日本資本主義発達史講座」の企画・編集者名を記せ。
野呂栄太郎。
「古寺巡礼」・「風土」・「鎖国」の著者名を記せ。
和辻哲郎。
【大正期の文学の作者】
「お目出たき人」「その妹」「人間万歳」「友情」➡武者小路実篤
「暗夜行路」「和解」「城の崎にて」➡志賀直哉
「或る女」「カインの末裔」➡有島武郎
「出家とその弟子」➡倉田百三
「あめりか物語」「腕くらべ」➡永井荷風
「刺青」「痴人の愛」「細雪」➡谷崎潤一郎
「羅生門」「鼻」「河童」➡芥川龍之介
「恩讐の彼方に」「父帰る」「真珠夫人」➡菊池寛
「波」➡山本有三
「機械」「旅愁」➡横光利一
「伊豆の踊子」「雪国」➡川端康成
「道程」(詩集)「手」「鯰」(彫刻)➡高村光太郎
「月に吠える」➡萩原朔太郎
「あにいもうと」「抒情小曲集」➡室生犀星
「赤光」➡斎藤茂吉
「紫禁城」➡梅原龍三郎
「金蓉」➡安井曽太郎
「麗子像」「道路と土手と塀」➡岸田劉生
「黒船屋」➡竹久夢二
「生々流転」➡横山大観
「白狐」➡下村観山
「髪」➡小林古径
「炎舞」➡速水御舟
「日食」➡安田靫彦
「ローマ使節」➡前田青邨
「斑猫」➡竹内栖鳳
「大原女」「舞妓林泉」➡土田麦僊
「阿倍仲麻呂明州望月図」➡富岡鉄斎
「築地明石町」➡鏑木清方
「転生」「五浦釣人」➡平櫛田中「墓守」「いづみ」➡朝倉文夫
「蟹工船」(1929年)の作者と内容を説明せよ。
小林多喜二。蟹工船の実態を暴き,低賃金で過酷な強制労働による搾取を受け続けた労働者たちの階級意識の目覚めを描いた日本のプロレタリア文学の代表的作品。
「太陽のない街」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
徳永直。プロレタリア文学の代表作の1つで、共同印刷争議
における労働組合の闘争および敗北を描いた小説である。
「海に生くる人々」の作者と内容を簡潔に説明せよ。
葉山嘉樹。貨物船の海上労働者たちが、次第に階級意識に目覚めていく過程を描いた、プロレタリア文学の代表作である。
1920 年代の活字メディアの普及を説明せよ。
「大阪毎日新聞」などが発行部数 100 万部を超え、大衆雑誌「キング」が多数の読者を獲得し、不況下で円本や岩波文庫などの低価格本が人気を博した。
円本が出版された背景と役割、帰結を説明せよ。
関東大震災後の出版界の不況打破のために 1926 年~1929 年頃まで予約売価1冊1円で出版され、改造社の「現代日本文学全集」に始まった。大衆社会の到来にともなう読者層の拡大に対応するマス・セールで,文化の普及に大きな役割を果たしたが、企画の重複などから急速に飽きられた。
「貧乏物語」(1916年)の作者と内容と意義を説明せよ。
河上肇。下層社会の貧困を解決する方法として,富者の奢侈禁止,社会政策の採用と社会主義への移行をあげて大正デモクラシーの理論的支柱になった。後にマルクス主義に基づいて「第二貧乏物語」を出版した。
「赤い鳥」の主宰者とその歴史的役割を説明せよ。
鈴木三重吉。児童自由詩を芸術的に評価し、児童の書いた詩・画などを掲載し、生活綴方教育運動に影響を与えたことで、学歴社会の中で子供の教育に熱心な新中間層に支持された。文部省の教育統制や画一的な教育方針を批判し、生徒の個性と自主性を尊重する自由教育運動の活発化が背景としてあった。
「国防の本義と其強化の提唱」=「陸軍パンフレット」(1934年)の内容を、立憲政友会など既成政党がそれを批判した理由も踏まえて説明せよ。
軍事面だけでなく政治・経済・思想・国民生活など全般にわたる改革を主張した。統帥権の独立には軍部は行政・立法には関与できないという意味もあるにも関わらず、軍部が国家政策について公然と発言したため、軍部の政治介入であるとして立憲政友会など既成政党は反発した。
「世界文化」(1935 年)の内容を簡潔に説明せよ。
海外における反戦や反ファシズムの情報を掲載した。
転向文学者 3 人とその著書を記せ。
中野重治の「村の家」。島木健作の「生活の探求」。亀井勝一郎の「日本浪漫派」。
戦争文学者 2 人とその著書を記せ。
火野葦平の「麦と兵隊」。石川達三の「生きてゐる兵隊」。
戦時中の漫画を2つとその作者を記せ。
田河水泡の「のらくろ」。島田啓三の「冒険ダン吉」。
「文学に現はれたる我が国民思想の研究」の作者と内容を説明せよ。
津田左右吉。貴族文学・武士文学・平民文学の時期区分によって、国民思想と実生活の交渉を文学作品を素材に批判的に考究した。
戦争記録画の目的とその代表者 2 人とその作品を説明せよ。
戦意高揚のため(戦時下の近代日本美術史の空白を埋める貴重なものが多い)。鶴田吾郎の「神兵パレンバンに降下す」。藤田嗣治の「アッツ島玉砕」・「血戦ガダルカナル」。
「国体の本義」(1937年)の発行元と内容を説明せよ。
文部省。「記紀」をもとにして国体の尊厳、君臣の大義を説き、日本は天皇中心の家族国家とする運命共同体を唱導した。
「臣民の道」の発行元と内容を説明せよ。
文部省。古今の古典・勅語から忠君を説いた箇所を引用し、日本国民が天皇の臣下として実践する道を説いた。
カストリ雑誌を説明せよ。
1946 年ごろから数年間にわたって発行された大衆的娯楽読物の俗称。戦中抑圧されていた性の解放が一気に噴出したものといえ、内容のほとんどは性風俗を中心とする。
「美しい暮しの手帖」=「暮しの手帖」の内容を説明せよ。
衣食住の合理化をめざし,自ら市販商品の使用テスト・分析を行い,その結果を掲載するなど特異な編集方針で他社の広告は一切掲載しなかった。
「世界」の目的と歴史的意義を説明せよ。
岩波茂雄が、戦争への反省から,国民の間に批判精神を培う月刊雑誌の必要を痛感して創刊した月刊総合雑誌。国論を二分した講和問題については,平和問題談話会メンバーをはじめ,全面講和論を展開して非常な反響を読んだ。
「展望」の趣旨を説明せよ。
敗戦の悲惨は日本文化の低さと弱さに根ざすという観点から、文化・思想を重視した。
「思想の科学」の趣旨を説明せよ。
思索と実践の分野に論理実験的方法を用いることを趣旨とした。
中間小説とは何か説明せよ。
ジャーナリズムの発達やマスコミュニケーションの成立により,文学読者層が拡大したことに応じて現れ、純文学と大衆小説の両方の要素を併せ持つ半通俗小である。